魔法少女リリカルなのは −another age −
第二幕 −second ignited−
03話 -友と誓いと願いと 前編-
烈火が士官学校に入学して数日が経った時だった。
「これで今日の訓練を終了する。復習は怠るなよ。それでは解散。」
教官の言葉と共に生徒は寮に戻ったり、グラウンドで訓練するものに別れる。烈火は寮に戻ろうと外に出た瞬間だった。
{烈火君聞こえる?}
{どうしたんですか、エイミィさん?}
エイミィの念話と共に烈火はキョトンとした顔をする。
{烈火君に任務のほう依頼したいんだけど、ちょっと予定空いてるかな?}
{依頼というと?}
{ある次元世界で見つけたロストロギア【レリック】って呼ばれてるんだけど、それの回収。それなりに危ないものだからヘルプを頼もうかってね。}
{メンバーは?}
{今のところなのはちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃん。それと別働隊としてヴォルケンリッターの人たちもいるよ。}
{それだけいて俺もですか?}
{それだけ危険なものなのよ〜。}
その烈火の念話にエイミィは溜め息をつきながら答える。
{まぁその任務が終わったら時間もいくらか空くからみんなでお買い物でもしてきたら?}
{へいへい。考えておきますよ。外出許可はそちらの方から出します?}
{もちのろん。それじゃあポート番号転送しておくからお願いね。}
そしてエイミィからの念話が切れると、烈火は影で非常用のトランスポートを起動させる。
「よっ、お待たせ。」
トランスポートから出た烈火は周辺で待っていたなのは達を見つけると、そのまま手を振り、駆け足でその場へと向かう。
「烈君遅いで〜。レディを何分待たすつもりや?」
「ぷんぷんですよ〜!」
そのはやてとリインの言葉を聞いて烈火は溜め息を漏らす。
「しょうがないだろ?こっちは昨日から寮生活なんだから。」
「た…確かに最初は忙しいもんね…」
その烈火の言葉にフェイトは賛同する。
「それじゃあ全員揃ったし、はやくいこっか。」
なのはの声と共に、リインを含む五人は転移魔法陣に乗り、アースラへと転送された。
そして烈火たちはアースラを拠点としてある荒野へと足を運んでいた。
「えっと、今回の任務の詳細そろそろ確認してもいいですか?」
{今回の任務は輸送地点を回ってもらってそこで発見されたロストロギアを回収。その後にその回収したのを護送して終わり。}
「ほうほう、了解。それじゃあ」
そして、烈火たちはその場所にある施設に降り立った。
「で、ここが観測場?」
「うん、そうだね。」
なのはは周りを確認しながら首を縦に振る。
「あ、遠路よりご苦労様です!」
すると、局の制服を来た二人の若い男女がとその隣にいるがはのはやフェイトたちを見つけ歩いてくる。
「あ、どうもお迎えありがとう。」
「いえ。休憩の準備は出来ているので――」
「いやいや、休憩せんでも別に大丈夫やで。こんなんでへばらんなんてグリフィスくんもわかっとるやろ?」
「ええ。まぁそうなんですが…一応…。」
『え?知り合い?』
なのは、フェイト、烈火が青年とはやてを交互に見る。
「そういやグリフィス君と会うの初めてやったな。この子の顔誰かに似てるとかおもわへん?」
「え?…う〜む…。」
はやてはニヤニヤしながら三人を見ると口を開く。
「この子はレティ提督の息子さんや。」
『……え?』
「いや、そやからこの子はレティ提督の息子さ――」
「えぇぇぇぇぇええぇぇぇ?!」
「うわっ!びっくりしたぁ…」
烈火の予想以上な驚きに三人は大きく体を震わせる。
「あの人結婚してたの?!そ…そんな風に見えなかったぞ!」
「まぁ…確かに驚くわな…というかそのこと本人に言ったら怒るできっと…。」
そのはやての言葉に烈火は腰を抜かしながら口をあんぐりと開けていた。
「あ、申し送れました。私本局管理補佐官グリフィス・ロウランです。」
「本当に同じ苗字だ…。」
「いや…もうええて。」
烈火の更に驚いた顔にはやては突っ込みをいれると、グリフィスはあははと笑う。
「私は通信士のシャリオ・フィニーノ通信士です!」
「シャリオさんは私達とは始めてだよね?」
同時にシャリオは目をキラキラさせながら三人を見る。
「はい、私は会うのは初めてですが皆さんのことは聞いてますよ!本局地上部隊の切り札の八神はやて捜査官!それにつく数少ない、なおかつ機能優秀のユニゾンデバイスのリインフォースUさん!管理局次元航行部隊のエリート!フェイト・T・ハラオウン執務官!そして武装隊のトップ機関教導隊の若いエースの高町なのは二等空尉!」
一人ひとりの手を握っていき、そして烈火を見てシャリオの動きが止まる。
「えっと…」
そのまま烈火の手を握ったままシャリオはグリフィスに助けを請う目を向ける。
同時に烈火はうずくまり、隅でシクシクと泣き始める。
「そうだよなぁ…所詮俺は未だに影薄い嘱託魔導士だもんなぁ〜…」
「烈君?!しょげたらあかんって!!」
「どうせどうせ〜…はやて達のほうが知られてますよ〜。俺は一生無名で〜通行人Aで終わるんですよ〜だ…。」
「いやいやいや…それはないって…。」
その烈火の言葉になのはは苦笑いをしながら突っ込みを入れる。
「しゃ…シャーリー?!失礼だろ!この人は僕が前話した人だよ!!」
「え?」
シャリオ、もといシャーリーはなんか言われたっけ?と呟きながら思い出そうとがんばる。するとグリフィスがしどろもどろでフォローを入れる。
「この人は日ノ宮烈火嘱託魔導士さんで、先のUMデバイス事件の被害者。高町なのは二等空尉達と協力して第36管理世界で出た弩級巨大ロストロギアを戦闘不能に追い込んだ人。ちなみにこの人は君が本局のマリエル技術部主任と同じく目標にしている日ノ宮夫妻の子息だよ。」
「え…えぇぇぇええぇぇぇえええ?!」
そのシャーリーの驚きに烈火は今度は回れ右をして天井の端へと歩いていく。
「みんな今までありがとう…。」
「ちょっとまちぃ!!」
烈火が清々しい笑顔で手を振り、同時にリイン含む四人全員が烈火を押さえつける。
「頼む!死なせてくれ!後生だぁ!男ならまだしも女の子にこんな恥ずかしい反応されて正気でいられるかぁ!!」
そして、観測場の屋上で、烈火の悲痛な叫びがこだました。
しばらくして空中、烈火たちをなだめた一行は空を飛び目標地点へと向かっていた。
「けっ…。人気者はいいよなぁ〜。」
「えっと…ごめんね?」
「べっつにいいですよぉ〜だ…」
烈火はいじいじしながら四人を見る。するとフェイトはなぜか意味もなく謝ってしまう。
{えっと…さきほどはシャーリーが失礼なことを…。}
「あ〜…まぁしょうがあらへんよ。烈君もいじいじしとったらあかんよ?」
「へいへ〜い。」
烈火は頬を膨らませながら答える。
「とりあえずナビゲート任せるで。」
{ええ、承知しています。}
「全く…シャーリー?今回はまだ先輩だったからよかったものの。別の人だったら大変だぞ?」
「うぅ…ごめんね〜…」
シャーリーはちょっと落ち込みながら通信のコンソールをいじる。
「あれ?」
「どうした?」
「いや、発掘場への通信が繋がらない?」
シャーリーはコンソールをいじりながら疑問符を頭に浮かべる。
「うん…繋がらない…。」
「なんだって?」
場所は変わり烈火一行は発掘場を目で確認できる位置まで到達すると、ある違和感に気がつく。
「……なんだあれ?」
「あれってロボットだね…あんなの発掘場にあるって説明なかったよね?」
なのはが指差した先には、楕円形のロボットが発掘場の周辺を動いている姿が見えた。
更に極め付けにはその採掘場から煙のようなものが立ち昇っていた。その光景に全員は頭に疑問符を浮かべる。
「なんか周りの状況からしていろいろとまずいことになってそうだな…。」
「確認したです!前方に多数の未確認反応です!」
「私が救助に行く!」
なのはは烈火たち一行から救助のため高速で離れて現場へと向かっていく。
「私は遊撃に回るよ!はやては上空で指揮をお願い!!」
なのはに続くようにフェイトも速度を上げる。
「リイン!ユニゾンや!」
「はいですぅ!」
フェイトが一行を離れると同時にはやては高速で上へと浮上する。それを確認すると烈火は念話をシャーリーへ繋ぐ。
「派遣隊より中継!発掘地点を強襲する正体不明機あり、迎撃するぞ!」
{こちら中継、了解しました!本部にも念のため中継します。}
「了解だ!」
そして、烈火もフェイトに続くように速度を上げた。
なのは、フェイトが高速で現場に向かっている頃。発掘したものを大切に抱えながら発掘員である男二人は逃げていた。
「も…もうだめだぁ!」
正体不明兵器の攻撃が当たる瞬間だった。その兵器の攻撃を桃色のシールドが受け止めていた。
「大丈夫ですか?!」
「は…はい…。」
「それが発掘されたロストロギア?」
なのはの言葉に発掘員は首を大きく縦に振って口を開く。
「はい!これを発掘していたらこいつらが襲ってきたんです!」
「ええ、了解。」
{こちらはやて!広域探査終了。逃げ遅れたのはなのはちゃんが守ってるその二人や!}
「うん!わかった。」
{発掘員の誘導は私が引き受けるからフェイトちゃんたちで迎撃してや!}
「任せて!」
そして、フェイトは空中で呪文を唱え、幾多ものスフィアを出現させる。
「プラズマランサー…ファイア!!」
フェイトのプラズマランサーはなのは周辺の起動兵器を破壊すると、発掘員はそのまま後方へ下がる。同時に中継基地のシャーリーと通信が繋がる。
{こちら中継、正体不明機はデータ該当なし。当兵器の破壊停止許可が出ました!!}
「こちら派遣隊了解した!フェイト!なのは!いくぞ!!」
「ええ!」
「了解!」
同時になのは達は三方から一つに集まり、正体不明兵器が集まる地域を見つめる。
「ったく…それにしても数が多くてしょうがないな!」
烈火は近辺にいる機械を迎撃しながら呟きを漏らし、別の方角の機械を撃ち抜こうとリベリオンから魔力弾を放つ。
しかし、狙われたそのうちの一機が光りだすと魔法弾を無効化し、高速で烈火に近づいてきた。
「なっ…無効化?!」
「烈火君危ない!!」
烈火はなのはの声を聞いた瞬時にソードシフトを展開し、起動兵器のメインカメラに剣を突き刺す。同時に機械は動きを停止した。
「セーフ…。」
「様子見で発射してみる!行くよ!レイジングハート!!」
《Accel Shooter》
「シュート!!」
なのはがそれをみてアクセルシューターのスフィアを生成し発射する。それがシールドらしきものに着弾すると同時、なのはの魔力弾を無効化した。
「どうやらアンチマギリンクフィールド…AMFが動いてるらしいね。」
「それって俗に言う反魔力鋼みたいなもんか?」
烈火の言葉にはやては首を縦に振る。
「まぁそういうもんやな。」
「魔力が効かなかったら倒せないんですか?はやてちゃん!」
リインが心配そうに烈火やなのは達を見つめる。しかし、はやては笑いながらリインを見る。
「大丈夫や。リインだって前の戦いで見たやろ?」
「でも…」
「なのはちゃんはもう使いこなせるで。それは私達が良く知っとる。」
フェイト、なのはの二人は呪文の詠唱を完了し、それぞれデバイスを構える。
「フェイトちゃんいくよ!!」
「うん!」
「スターダスト…」
「サンダー…」
『フォール!!』
二人の詠唱と共にその起動兵器に隕石と雷が落ちていき、そして爆発と共に兵器は粉微塵になった。
「ふぅ。何とか練習が身になったかな?」
なのははうんと頷きながら安心そうに溜め息をついた。
「そうだね。前よりも精密性は上がってるし。」
「うん、そう言ってもらえるなら何よりかな。」
そのフェイトの言葉になのははにこっと笑顔を見せる。しかし、爆発の煙の中から数体の起動兵器が出現して二つのグループに分散する。
「あれ…あれれ?!」
「多分…別の兵器の影で攻撃が当たらなかったんだ…。」
「そんじゃ、片方は俺がやりますかねぇ。」
「了解や、それじゃあ私達はもう片方いこうか!」
{はいですぅ!}
烈火は速度を更に加速させながら起動兵器の後ろに回りこむ。
「俺だってちょっとかっこいいところ見せてやるもん…ねっ!!」
そして烈火の勢い良く踏み込んだ居合いでその数体は全て切り伏せられ、バラバラになった。
はやてはもう片方の機動兵器を目で追うと、リインに合図をする。
「リイン、足止め捕獲魔法お願いな。」
{発生効果で足止めというと…}
するとリインは内部のライブラリを瞬時に検索、呪文を編み上げる。
{いくですよ!フリーレン・フェッセルン(凍てつく足枷)!!}
リインが魔法を起動させると、機動兵器の前に魔法陣が出現し、通った機動兵器全機を氷づけにする。
「お見事。」
{はいですぅ!}
「リインもやけど、烈君もなかなかやるようになったんちゃう?」
その言葉に烈火は笑顔ではやてを見る。
「昔シグ姉に伊達に稽古つけてもらってなかったからね。それにこれからもっとハードなことがあるんだし、これくらいはズバっといけるようにならないと。」
烈火はふっと鼻を鳴らしながら胸を張るとある場所に通信を繋ぐ。
「さぁ、どうだ眼鏡っ娘!俺の強さが分かったか!!」
『まだ引っ張ってたのかい!!』
その烈火の言葉と同時、揃うように全員のツッコミが入った。
場所は変わりアースラ内。クロノとエイミィが画面を見ながら通信を行っていた。
「そっちのほうの様子はどうだ?」
{派遣隊Aグループは現場にいた隊員達を保護。正体不明兵器を迎撃してから上空を飛行して目標を護送してもらっています。}
すると、クロノは安心した顔をして画面の中のグリフィスを見る。
「それじゃあ引き続きグループのアシストは任せた。一端接続を待機状態にする。何かあったらすぐに知らせてくれ。」
{了解です!}
そして、クロノは無線を切ると、別の場所へと無線を繋ぐ。
「こちらアースラ艦長クロノです。派遣隊Aグループがロストロギアを回収、護送中です。Bグループは爆発によりロストした現場のほうへ向かっています。」
{皆さんお大事はありませんか?}
画面の中で心配そうな顔をしたのは歳若い金髪の美しい女性だった。
「ええ。魔導士、現場発掘員、共に死傷者はいませんでした。すべて騎士カリムの迅速な命令があったこそです。」
{ロストロギアの回収、保管は管理局でも、聖王教会でも使命ですからね。それに私は肩書きだけですが管理局員ですから。}
そのクロノの言葉にカリムと呼ばれた女性は優しげな笑顔を見せる。
{こちらのデータにはレリックは無理な開封や極端な魔力干渉がなければ暴発はしません。ですが、双方の現場に気をつけてくださるようにお伝えください。}
「承知しました。」
そして、クロノは通信を切った。
場所は変わり聖王教会、中央聖堂。
「やはり友人達が心配ですか、騎士カリム?」
カリムが通信を閉じた時だった。後ろからシスター姿の女性が姿を見せる。
「ちょっと心配なのはしょうがないわ。でも、あの子たちなら成功するって信じているから。」
「では私の出る幕はありませんね。おとなしく騎士カリムのお傍で、お茶をお入れするとします。」
「うん。よろしくねシャッハ。」
そしてシャッハと呼ばれた女性は聖堂を後にした。
その通信が終わる頃、シグナム、ザフィーラは別の現場へと向かっていた。
「そろそろ現場が見えてくる頃だな…。…なんだあれは?」
シグナムの声と共にザフィーラは下を見る。
「辺り一面焼け野原だな…。一体どれほどの物が爆発したのだろうな?」
「さぁな、ちょっと待っていろ。通信を繋ぐ。こちら派遣Bチーム、シグナムだ。」
{こちら派遣隊Aチーム…もしかしてシグナムさんですか?}
するとなのははシグナムの声に反応する。
「そっちのほうは無事か?」
{ええ、なんとか。そちらは正体不明兵器の追撃は?}
「こちらは襲撃ではないがな。危険回避状態だったのが唯一の救いだ。」
{そうですか…よかった。}
なのははほっとした声を聞くと、シグナムは話を続ける。
「上空からなので細かいことはまだわからんが…発掘現場には建物一つ残っていないな。」
{そんな爆発があったんですか?!}
そのシグナムの声と共になのはは驚いた声を上げる。
「ああ、これよりBチームは降下、探索に移る。回収物はそちらに任せた。どちらにせよ、今回の任務は気楽に終わりそうにはないな。」
{了解。気をつけてくださいね。}
そう呟くとシグナムは通信を切る。
「よし、とりあえず降りるぞ。」
「承知。」
そして、二人は高度を下げて着地した。時をしばらくしてヴィータとシャマルも現場に到着する。
「よぉ、シグナム。呼んだか…ってなんだここは?完全に焼けてるじゃねぇか…」
そのヴィータの驚いた声を聞くと同時にシグナムは口を開く。
「周辺に汚染物質の残留なし。完全な魔力爆発だな。」
すると同じく来ていたシャマルは通信用のコンソールを開く。
「この話をまとめると、聖王教会の報告と依頼を受けたクロノ提督がそのロストロギアの確保、護送をなのはちゃんたちAチームの子たちに要請。そうしたら正体不明の機動兵器に襲撃されて片方は回収成功、もう片方は爆発してこの有様と。」
{はい、そうなります。}
「聖王教会か。あそこには確か主はやてのご友人が…」
「多分、騎士カリムね。あの人ならクロノ提督ともお友達だし。」
「ただ聖王教会が情報を持っていて助かったな。そうでなかったら幾多もの人々が巻き込まれていただろう…。」
「この爆発なら…一体何人の人が巻き込まれたでしょうね…。」
シャマル、シグナムは周りを見ながら溜め息をついた。その後ろで、周りを見ているヴィータは寂しげな顔をしていた。
「どうしたヴィータ、何かあったのか?」
するとザフィーラがヴィータの後ろからゆっくりと歩いてくる。
「べっつに。ただこういう焼け野原は好きじゃねえんだよ…。色々思い出しちまうから…。」
…
……
………
ヴィータが思い出すのは昔、烈火が魔法の世界に足を踏み入れる前のこと…。
なのはは任務中に失敗し、身体をボロボロにしながら廃墟の中央で倒れていた。
ヴィータはその惨状を見ると、そのままなのはを小さな手で抱き抱える。
「おいっ…なのはしっかりしろ!!」
「だい…じょうぶ…ちょっと失敗しただけ…だから…」
小さいヴィータの手に抱かれているのは血まみれのなのはだった。
「今救護班を呼んだ…すぐに来るからな…」
「ごめん…ね…ヴィータ…ちゃ…」
なのはは目に涙を滲ませながらヴィータを見る。
「ばかやろう…喋るんじゃねぇ!傷が開くだろ!!」
「迷惑掛けて…ごめ…ん…」
なのはは咳き込むと同時にバリアジャケットの血の滲みが大きくなる。
「早く…早くしろよ救護班!なにやってんだよ!!」
ヴィータは焦りながら周りを見るが、まだ救護班の影は見えなかった。
「早くしないと…早くしないとなのはが死んじまうだろうがぁぁぁ!!」
そして、薄汚れた廃墟の中、ヴィータの怒号が周辺を包んだ…。
…
……
「くっ…」
ヴィータはそんなことを思い出しながら、歯軋りをする。すると、脇からシグナムが軽くヴィータの肩を叩く。
「なにを怖い顔をしているんだヴィータ?」
「…っ!」
するとヴィータは驚きつつ、目尻に溜まった涙を見えないように拭く。
「べっ…べつになんでもねぇ…ただの考え事だ。」
「ほぅ。いつもは直線型のお前が考え事か。それにそんな顔でいるとリインに怖がられるぞ。」
するとシグナムはヴィータの顔を横で見つつ、笑顔でヴィータの頭を撫でる。
「うっせぇーな…というか頭撫でんな。」
すると、ヴィータは恥ずかしそうにシグナムの手を振り払う。
「そういや…海鳴にいるのもあと少しだな…。」
ヴィータは少しだけ寂しそうに呟き、足元の小石を蹴る。
「住所がただ変わるだけだ。ずっと会えなくなるわけではない。まぁ私も道場の奴等に会えないから少しだけ寂しいといえば寂しいが…。」
「嘘だろ!シグナムが寂しい?!シャマル!今の録音したか?!」
「えっ!ごめん!こんな時に限って!!」
シグナムの言葉にヴィータが驚きながらシャマルを呼ぶと、シャマルはすごく悔しそうに地面に頭を抱える。
「貴様等…」
そのシャマルたちを見ながらシグナムは溜め息をついた。
「引越しで思い出したけどミッドのお引越しって不安なのよね〜。まだいい物件も見つかってないし…。」
『その件は任せた。』
シャマルがはぁと溜め息をつくと、ヴィータとシグナムは同時に喋り、回れ右をする。
「ちょっと〜!こんな時だけ二人とも同じで逃げるわけ〜!」
シャマルが頬を膨らませながらシグナムたちを二人を見る。しかし、ザフィーラの声が他愛のない世間話を遮る。
「シャマル、探査結界の範囲を拡大しろ…。」
「どうしたの?」
その言葉と同時にシャマルは探査結界の範囲を広げる。同じくヴィータとシグナムもザフィーラのほうを向く。
「森が動いた…何かがいるぞ…。」
そして、中継側のシャーリーの方でもその動きをキャッチしていた。
{こちら観測基地、シャリオです。さきほどのAチームと同型の機動兵器を確認。現在護送しているAチームのルートをついて来ています。}
すると、その脇からグリフィスの通信が入る。
{こちらグリフィスです。やはり敵の狙いはロストロギアなのでしょうか?}
「恐らく…この機動兵器の動きからしてそう推測できるだろうな。」
シグナムとシャマルはモニターに映る機動兵器とレーダーを見ながら、口を開く。
「主はやて、テスタロッサ、なのは、烈火があのような機械兵器に不覚を取ることはないとは思うが…」
「運んでるのがあれだものね…。こちらで叩きましょう。」
「そうだな…。」
そして、シグナムは少しだけ考えると、通信を開く。
「こちら派遣隊Bチーム。守護騎士からシグナム、ヴィータが迎え撃つ。」
「ちょ…あに勝手に決めてんだよ?!」
するとシグナムはいたずらのような笑みを少しだけ浮かべる。
「どうした、将の決定に不服か?」
「ね…ねーけど…」
するとヴィータはばつが悪そうに俯く。
「こっちは二人で大丈夫だから。」
「危機ならばすぐに駆けつける。」
シャマルとザフィーラの言葉に後押しされ、ヴィータはしかたなく首を縦に振る。
シグナムはそれを見て、先に歩きながら静かに口を開く。
「守るべき物を守るのが騎士の務め…行くぞ…その務めを果たしにな…。」
「わあってるよんなこと。」
ヴィータはそのシグナムの言葉を聞きながら恥ずかしそうに同じく歩き出す。
「主はやて、シグナムです。邪魔者は私達が蹴散らします。テスタロッサ、手出しは無用だぞ…」
{はい、わかっていますよシグナム。}
「なのは!おめーもだぞ!」
{はーい。どちらにせよ片手ふさがってるしね。}
{二人ともおーきに、でも気ぃつけてな?}
「ええ。」
「おうよ!」
{それとAMFの件ですが…聞いていると思いますけど気をつけてくださいね?}
するとフェイトは心配そうにシグナムに声をかける。しかし、シグナムは笑顔になりながら武器に手をかける。
「テスタロッサ、誰に物を言っている?」
そのままシグナムはレヴァンテインを構える。
「ベルカの騎士は己が信じる武器を手に、あらゆる害悪を貫き、敵を打ち砕く。それがベルカの騎士だ。」
同じくヴィータも自分のデバイス、グラーフアイゼンを構える。
「おめーらみたいにごちゃごちゃ撃たねーでもストレートにぶっ叩けばぶち抜けんだよ!」
そして、ヴィータはアイゼンのカートリッジをロードし、リインと烈火にも通信を繋ぐ。
「リイン!烈火!よ〜く見とけよ!!」
{はいですぅ〜!}
{二人ともがんばれ〜!}
「行くぞヴィータ。」
「おうよ!」
『出撃!!』
そして、ヴィータとシグナムは飛行魔法で宙を舞った。
{機動兵器の移動ルートは変わらず、恐らく特定の反応を追尾し、その攻撃範囲に出てきたものを追撃するタイプ。…そんなには賢くはないですね。ですが対航空戦能力はまだ未確認です。お気をつけて!}
「なに、未確認なのはいつものことだ…問題はない。」
「行くぞヴィータ。準備はいいか?」
「あぁ…纏めてぶっ潰す!!」
『うおぉぉぉぉぉぉぉ!!』
そして、二人の気合の入った声と共に、機動兵器はなす術もなく破壊されていった。
「うっへぇ…さすがシグ姉…。相手が未確認だろうがコテンパンだなありゃ…。」
「シグナムもヴィータちゃんかっこいいですー。」
「シグナム達はあれだと大丈夫やな。」
烈火やリインの声と共にはやては前方をみなが進んでいく。
「で、これはお仕事の話なんだけど今回の件はやては捜査官としてどう思う?」
「うん、そうやな〜…。」
するとはやては考えながら口を開く。
「今回の件あのサイズのAMF兵器が絡んでるのがちょっと怖いなー。もしあれが量産されるとしたら規模の大きな事件にもなってまうし…」
そしてはやては一呼吸置きながらまた口を開く。
「それに前回起きてるタロットナイツの事件とかも同一なのかどうかもわからへん…だからなんとも――」
「きっとやつらは絡んでることはないと思うよ。」
そのはやての言葉に割り込むように烈火は真剣な顔で答える。
「その意図はあるんか?」
すると烈火も頭の中に考えを巡らせながら口を開く。
「予想だから何ともいえないけど、今恐らく身を隠している状態なのにあんな兵器を量産して暴れさせる…なんてデメリットが多いようなことをするのかってのが一点。」
「確かに最近あの人たちの影を見ていないからね…。身を隠しているってのはあながち合っているかも…」
フェイトはうんうんと首を縦に振ると、烈火は話を続ける。
「それにあいつらは自分達への敵意識が高いからね…俺達への煽りくらいに何人かくらいは出てきていてもおかしくはないよ。」
その言葉に三人はなるほどと呟きながら考え始める。そしてなのはが口を開く。
「それだとしたら私はあの機動兵器がロストロギアを狙うように設定してあるのが気になるね。」
するとそれに合わせる様にフェイトが口を開く。
「猟犬の後ろには猟師がいるってことだよね。」
「うん、そういうこと。」
そのフェイトの言葉になのはが首を縦に振ると、続くようにフェイトはまた口を開く。
「だとすると余計に危なく思えるね。新しい次元犯罪者…。それも別な技術系となるとさらに厄介な犯罪者勢力が二つに増えることになる…どちらにせよ先が危険なのは変わらないかもね…。」
「大丈夫だよ。」
全員が不安そうな顔をする中、一人烈火は笑う。
「その時には俺だってきっと局員になってるし、みんなで肩を並べて仕事だってできるし…それに衛星を止めた俺達なんかそんな無茶朝飯前だろ?」
「…確かにそうやね。」
その烈火の言葉にはやてはクスリと笑いながら烈火を見る。
「だからもうちょっとだけ待ってて。一生懸命がんばるから…さ。」
その烈火の言葉に全員は首を縦に振った。
その一方、アースラでは。
「本当にすごいねあの二人。未確認でもものともしない強さ…。」
「ああ…。」
エイミィは画面を見ながらコンソールを叩く。
その後ろでクロノは溜め息をつきながらシグナムたちが戦っている画面を見る。
「心配そうにしてどうしたの?」
するとクロノは溜め息をつきながら口を開く。
「今後のことを心配していただけだ。相手を第一級犯罪者と仮定して動ける部隊が何人いるか。機材、人員を導入してどれくらいかかるのか。そんな状況を想像すると苦い顔にもなるさ。」
クロノは苦い顔をしながらスクリーンをみる。
そのクロノの顔をみて、同じくエイミィも表情を暗くする。
「確かにねぇ…そういう事を考えるのも司令官の仕事だからねぇ…頭の痛いところだわ。」
「それにはやても司令官としての研修を受けている。同じく頭を悩ませているだろうな。」
クロノが溜め息をつきながらスクリーンに視線を戻す。すると、エイミィはくるりと回りながらクロノを見る。
「でも今回の資料や残骸サンプルはそのテの準備の手札なんでしょ?」
「ああ、まぁそうなるな。」
クロノが首を縦に振ると、エイミィはニコニコとしながらクロノを見て自信を持って答える。
「それにさ、今そんなに確率だけ考えても物事はどう転ぶか分からないんだよ?」
「それはそうなんだがな…」
すると、その自信を持ったエイミィの顔を見ながらクロノは顔をしかめる。
「なんとかなるよ。プレシア・テスタロッサ事件も闇の書の事件も、それにタロットナイツの件も何とかしてきたし、それにあの時からまた頼もしい仲間が増えたんだから。」
「確かに…あれは戦力として頼もしいな。長距離砲撃のなのは、範囲魔法と司令塔のはやて、司令塔を守る騎士達ヴォルケンリッター、偵察兼高速戦闘、場所によっては主力としても戦えるフェイト。」
「そして、完全近接戦闘の火力特化の烈火君。」
エイミィは微笑みながら画面上の烈火を指差す。
「ああ、それにあいつらの後ろには聖王教会もいる。一人一人の力は周りの部隊とは比較にならない。…だがそれだからこそみんなをいろいろなところに配置して戦力の強化を図る。これは自分の…いや…管理局の未来をかけた投資といったところだろうな。」
「なるほどねぇ…さすが司令官。良く考えているじゃないの〜。」
「これでも司令官だからな…。というか馬鹿にしているだろ?」
「いえいえ〜。」
クロノが苦笑いをしながらエイミィを見ると、エイミィはそのままそっぽを向く。
「そういえばそろそろなのはちゃんもポイントにつくみたいだしね。転送の準備でもしますか。」
そして、エイミィはニコニコとした顔を崩さずにコンソールを操作し始めた。
その一方、シグナム達二人は正体不明兵器を全機見事に粉砕していた。
「シグナムさん、ヴィータさん。未確認兵器の撃破を確認。」
「流石…というか早っ…!」
シャーリーが感激しながらシグナム達を見ている中、グリフィスは驚いた顔をする。
そして、シグナムはレヴァンテインを鞘に収めると、念話を中継に繋ぐ。
{こちら派遣隊Bチーム。正体不明機動兵器の破壊を確認。派遣隊Aチームと合流する。}
「こちら中継、了解しました。」
その通信とほぼ同時に、シグナム達は空へと飛翔した。
「お疲れ様です、主はやて。」
「お?シグナム達はもう終わったん?」
なのは達がレリックを護送し終えた頃、シグナム達も転移魔法陣のほうへと集合していた。
「ええ。AMFは確かに厄介でしたが我々の敵ではありません。」
「だからいったろ。別に助けなんかいらねぇってよ〜。」
ヴィータはなのはを見ながらニヤニヤと笑うと、なのははそのままヴィータの頭を撫でる。
「さすがヴィータちゃん。すごいすごい!」
「なっ…なのは!てめっ!頭撫でんな!」
するとフェイトはシグナムのほうに寄りながらなのはを見る。
「なのはきっと…意地悪してるね…。」
「全く。どちらも譲らないものは絶対に譲らない性格だからな。まぁしょうがないだろう。」
「あはは…。」
烈火は笑いながらなのはとヴィータを見る。全員が到着したのを見ると、シャマルは中継に通信を繋ぐ。
「こちら派遣隊A、Bチーム。転送ポートに到着しました。転送処理よろしくお願いします。」
{こちら、本部了解。管制のお二人もご苦労様。これにて任務完了です。}
{はい、どうもお疲れ様でした。}
シャーリーは笑顔でなのはたちをコンソールから見る。
{さ〜て、転送開始っ。こっちのほうで食事の準備はしてあるから。最後まで気を抜かずに戻ってきてね〜。}
『は〜い。』
そしてなのは達は転送ポートでアースラへと飛び立った。
あとがき
はい、立て続けの二話目投下!w久しぶりで二話投下はちょっと疲れましたwww
次は二週間に一回は更新できたら…いいなぁ(;´ω`)
今回のお話はまぁ漫画見ている人はわかるとは思うんですが、一部漫画のオマージュ入っています。
まぁこのSS自体なのはのシナリオに被せて書いているから仕方がないですが…
セリフ自体はあんまり似せないようにはしたんですが…それが地味に難しかったり…
劣化コピーなんていわないで(ノд`)<ウグゥ
次回は後編です。懐かしい人や新しい人、緑色のマッガーレ(ォィ とか出てきますw
それでは次回予告いってみよ〜w
ロストロギア【レリック】の回収任務
それが終わり、戦士たちは一時の休息を取る。
全員一人一人が別々の道を歩み
烈火も自分の道を再認識する。
第二幕第04話 -友と誓いと願いと 後編-
道は違えど、心は一つ
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